普段から真面目に入院患者に対するお世話をしてきたつもりなのに、なぜか当の患者があまりいい表情を見せてくれないといったケースはよくあります。もちろんその理由を直接患者に問うことはできないため、そこからうまく答えを導けるようなコミュニケーションが取れない経験不足の看護師にとって、これ以上ガッカリすることはありません。ですが、それにも必ず原因があるもので、自分なりに知恵を絞って解決に導くというのも看護師の1つのやりがいだといえます。
お世話の内容にミスがなく自信も十分にあるのなら、まずはその原因を外側、つまり入院患者を取り巻く周辺環境に求めてみるといいでしょう。病棟の中は殺風景になりがちで、特に長く入院し行動範囲も制約されている患者にとってはマンネリ感が強く、退屈に感じられるものです。そこで、自由に動ける看護師が率先して工夫をすることが大切になります。時間さえ許せば、病室の窓を軽く開け外から流れてくる風や小鳥の鳴き声といった自然のBGMを取り入れてみたり、病棟内にも医療活動に支障のない範囲で季節を感じさせる飾りを施したりといったアクセントを加えることはできるはずです。また、病室内の気になる臭いの除去に努めるといった、入院患者のQOLを第一に考えた工夫も立派なお世話の一環です。そのような地道な努力の結果、不意に患者が笑顔を見せてくれれば、それは新たなやりがいとなって自分のモチベーションを高めてくれるでしょう。